「府中家具」の魅力
広島県の東部に位置する府中市は、家具の生産地として全国的に有名です。府中市一帯で生産される家具は「府中家具」として高いブランド性を誇り、1700年初頭から現在まで300年を越える歴史の中で、確かな技術と品質、伝統に培われた技術で、全国有数の高級家具としてその名を広めてきました。
「府中家具」の大きな特徴は、内部材に多数の桐を使用していることです。桐は吸水性に優れ、乾湿調整をする働きをもっています。そのためプラスチックの収納ボックスや桐を使用していない家具では虫食いやカビが生じるのに対し、桐を使用している「府中家具」では吸湿や調湿を桐が自然と行うため、内部に湿気を届かせず、防虫効果もあり日本の湿度の高い気候風土に適した特徴をもっています。
湿気や虫などの内部面だけでなく塗装や接着にも特徴があります。多種多様な要望に応えられる塗装技術は仕上がりが大変美しく、一つの芸術品とも言えます。また、近年問題となっている【シックハウス症候群】の原因の一つである【ホルムアルデヒト】を低減させるため、安全基準をクリアした塗料や接着剤を使用し、【人と環境にやさしい家具づくり】をコンセプトに取り組んでいます。
このようなことから、「府中家具」は家具では初めて地域団体商標として特許庁に登録され、近年では住宅内装工事の分野へも進出を図り、「総合インテリア産地」の形成を目指しています。
-
伝統技術を継承する「府中家具」
「府中家具」の引出しや内部材に使用されている桐は利点が多い反面、非常に柔らかく、加工する際に微妙な力加減ですぐにダメになってしまう面倒な材料でもあります。そのため「府中家具」の桐の引き出しには、前板と側板の接合面に【蟻組(アリグミ)】という技法が施されています。
この蟻組とは、接合面の木と木を指を組み合わせたような形に加工します。これは非常に手間のかかる組み合わせ方法ですが、釘を使用せずに板の反りを防ぎ、引き出しに割れ目が入らない強度な接合が得られるという優れた伝統技法のため、府中家具の引き出しにはこの技法が用いられています。
また、「府中家具」の職人の技として最も代表的なものは、【象嵌(ぞうがん)】という技法です。これは、材料を部分的に模様の形にくりぬき、そこに別の材料を寸分の狂いなくはめ込むものです。これには非常に緻密で繊細な技術が必要となり、高い意匠性をもって完成されたその美はまさに職人の技そのものと言えます。